エスキス アムール
第28章 バレンタインデイ キッス
「は、離せよ…」
「嫌だ」
彼の手が腰に回る。
グッと距離が近づいて鼻の頭が
擦れるほど近くなった。
あと少し近づけば、唇が触れ合う。
一生懸命逃げようとするけど、
ビクとも動かなかった。
「さっき、キスもしたじゃん。
…今更、男も女も関係ないだろ」
「…」
何でこんなことするんだ。
僕の気持ちも知らないで。
好きだってことを知って、
からかっているのか?
僕は顔を離して俯く。
もうやめてくれ。
これ以上、好きになったら困るんだ。
もう、止まらなくなる。
きっと君は、
半分ジョークだって思っているのかもしれない。
でも、彼女が君を愛したように、
それ以上に僕は君のことを愛してる。
今、
君が彼女を愛しているように…。