エスキス アムール
第4章 巡り合わせ2
アカリと呼ばれたその子は、
綺麗な子だった。
透明感って
こういうことなんだろうな
っていう感じの。
だけど、
あどけなさも少し残っていて、
この子がそんな事をするのか。
とても信じられなかった。
そんな俺を見て微笑む彼女は、
とても遠くにいる存在のように
思えた。
接待が終わり、
社長達はご機嫌で帰った。
タクシーで家に帰る途中、
アカリと呼ばれたあの子の事が
頭から離れなかった。
何で
あの仕事についているのだろうか。
北山社長に
久しぶりと言ったということは、つまり、
シた、のだろうか。
そして、
観月社長が
拒否されていたことを思い出す。
『ルールは守っていただかないと。』
彼女の
凛とした声がこだました。
ルールさえ守れば、俺も…
「な、なに考えてんだ…!」
あらぬ妄想をしたら、
もう止まらなかった。
綺麗な目、
綺麗な肌、
綺麗な声。
トイレで話した
あの全てが頭から離れない。
魅力ってすげーな。
本人は気がついていないのか、
どうでもいいと思っているのか、全てを振りまこうとはしない、
まだ秘めているような感じだった。
じゃあ
いつその魅力を全て出すのか。
それは、
もう一つしか無いんじゃ…
そう思うと、
あの子に触れたくなった。
触れて、
この目で見て見たい。
あの子の魅力の全てを。
そう思ったのは思ったけど、
お店に足を運ぶ勇気もなく、
時間は過ぎていった。
そんな接待があったことも忘れかけていたある日、
最高に嫌なことがあった。