エスキス アムール
第30章 彼の変化
え?え?
なに?
また、嫌な予感がした。
この間と同じような、
この感じ。
その感じに、僕はまた、
抗えそうにもなかった。
動揺する僕をよそに、
彼の手は身体を撫で回し密着する。
拗ねている
場合ではなくなって、
波留くんの方に向き直ると
彼はふにゃりと笑った。
ドキドキドキドキ
心臓の鼓動が
どんどん早くなる。
彼の気持ちが本当にわからなかった。
僕のことが好きなのなら
自然なふるまいだと思う。
だけど、彼が僕のことを好きだなんて、あり得ない。
僕だけがいつも余裕がなくて
まるで、彼が僕で遊んでいるようにも思えた。
好きだと言うから、
恋人同士の感じを
味わわせてやろうみたいな?
わけがわからなくて、
戸惑いながら彼を見つめると
彼も僕を見つめて、
そっと、優しく
キスをした。