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エスキス アムール

第30章 彼の変化





それから一週間が
過ぎようとしていた金曜日。


「寝るか。」



会社から帰宅すると

波留くんが何時ものように
ご飯を作ってくれていた。

それを食べて風呂に入って

もう寝る。


その段階に入ったときだ。
大事件は起きた。



ベッドに二人で潜り込むと
いつもはすぐに寝てしまう彼が

ポツリと言った。



「…明日休みだよね?」

「そうだよ。」



それ以上、
何も言わなくなる彼。

少しだけ眠そうな瞳で
天井を見上げていた。


どうせ聞いたって…
とは思うけど、気になる。
一応…、




「どうして?」

「…ん?…うん」




ほらね。

大事なことっていうのは
どうもはぐらかされる傾向にあるのだ。


他の謎の日課だって
教えてもらえてない。


もういいよ!!



「おやすみ!」



むすっと、少しだけ拗ねて
波留くんに背を向けて目を瞑る。





モゾモゾ



しばらくして
ウトウトしかけていた頃、

腰に何かが触れている感触がして

目を開けると
それは、

波留くんの手だった。














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