エスキス アムール
第31章 彼の嫉妬
「じゃあ、今日
食事に行くっていうのは…」
「幼馴染だよ。
今外国に住んでてさ、
今日帰ってくるからって。
彼はよく、
ドレスコードがある店に行くから
服装はちゃんとしなきゃ」
「……」
「波留くん、もしかして
僕に嫉妬してくれたの?」
「してない!!馬鹿!!」
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
俺の勘違いだったなんて。
さっき彼にすごい剣幕で
怒鳴った光景が蘇った
俺、なんて言ったっけ。
何言っちゃったんだっけ。
恥ずかしくなって
ベッドから出ようとすると、
彼に腕を掴まれて
彼の腕の中に引き込まれた。
「逃げないでよ。
あんなに怒鳴るってことは
僕のこと、好きなの?」
「…っ好きじゃない。」
「…電話してた相手だけど。
僕、告白されてるんだよね、実は。」
その声に、バッと顔を上げる。
彼の瞳は、
試すように俺を見ていた。