エスキス アムール
第31章 彼の嫉妬
「…友達と食事。
いってこいよ…」
「いいよ。今日は断るから」
「でも…」
「また今度にしてもらう」
「…ごめん…」
彼はやさしく
俺の髪の毛を触って
頭をなでると、
いいよ。と笑った。
「電話も。断るから。」
「…うん…。」
恥ずかしくなって
彼の胸に頭を擦りつける。
彼は頭にキスを落とすと
俺の頭を抱え込んだ。
温かさに
ほおっとして
目を瞑る。
「波留くんがそんなに
嫉妬してくれてるなんて思わなかったな」
「う、うるさい…」
「すごかったな~あの剣幕」
「……。」
「だから最近
機嫌悪かったんだ?」
「……っ」
「波留くん、僕のこと、
そんなに好きになっちゃったんだ?」
「……~っ!」
「はーるくん」
「うるさいうるさいうるさい」
きっと今、顔が真っ赤だ
意地でも顔を上げるもんか。
自分の気持ちを伝えるように
彼の胸に吸い付く。
それに、彼はくすくすと笑っていた。