テキストサイズ

エスキス アムール

第32章 彼と実験




あのとき彼は、
確かに嫉妬をしていた。


僕が違う男と
楽しそうに毎日話しているのを見て、嫉妬したのだ。

電話の彼は
確かに話はオモシロかったけど
波留くんみたいにかわいくないし

波留くんみたいに興味をそそらない。

ただ電話が来るから出ていただけだ。
それが波留くんの怒りの原因だったなんて思ってもみなかった。



うれしい。
それはとても嬉しい。


だけど、そこまで来たら
言葉がほしい。

僕は
欲しい。好きだと言って、
彼に求めてほしいのだ。



だから僕はちょっとした
試験的なものを行うことにした。


彼に好きと言われるまで
求められるまで
こちらから抱かないし
好きとも言わない。

おはようとおやすみの
キスもなしだ。


久しぶりにまたやってきた
自分にとっては拷問に近い実験を
長い時間をかけて行うことにした。


ちょうど、それを始めてから
今日で一ヶ月が経とうとしている。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ