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エスキス アムール

第33章 彼のシゴト

【木更津side】




「観月製薬に復帰を打診されてる?」

「うん。」


ある休みの日、
ベッドの中で彼が打ち明けた。


それは、

行為に及んだあとで
素肌同士が触れ合うのが
心地よくて。

寝るのももったいなくて
二人で肌をふれあいながら
落ち着いた時間を過ごしている
時だった。


彼のきれいな肌を指先で撫でながら、
彼の話に耳を傾ける。



「…で?どうするの?」

「んー、悩んだんだけど、
途中までやろうかなって」

「途中…?」



彼は僕の指先がくすぐったいのか
少しだけ目を細め、

そして、その僕の指に
自分の指を絡める。



「ある程度、
観月製薬が立ち直るまでやる。
息子に罪はないからさ。

それで、
ある程度持ち直したら…」


彼は僕の指先を
ギュッと握ってキスを落とす。
そのまま、中指を口に含んだ。



「持ち直したら?」


その手を引き抜いて、
急かすように問いかけると
名残惜しそうに、僕を見つめて
言った。





「ニューヨークに行こうと思う」

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