エスキス アムール
第33章 彼のシゴト
「あ、波留くん硬くなってきてる」
「やめろ…っはなせよ!」
身を捩ろうとすると料理がこぼれるので、
彼は僕に支えられて
足をばたつかせるだけに留めた。
彼が持っている料理を取り上げて、引き寄せる。
「ね、したい…?」
「…」
「言ってごらん?」
「…、したい…っ」
耳元で囁くと、真っ赤になりながら
そう呟いた彼の頬に触れる。
その頬はとても熱かった。
唇を指でなぞると、彼の唇が僕の指を捉える。
なにもせずに好きなようにさせると、
波留くんは僕の指を口に含んで
猫が甘噛みするように噛んだ。
「可愛い子猫ちゃん」
波留くんの脹脛をつーっと縁取る。
その瞳は欲情していて。
見つめ返せば、
彼の唇が僕の唇に噛み付いた。
その唇を無理矢理離すと、不満そうな顔をする。
「早く食べちゃいな?
するのはそれから。」
すっかり硬くなったモノがありながら
ご飯を食べるなんて拷問に近いけど。
疲れている上に
ご飯を食べずにセックスをして倒れたなんてことになったら、笑い話にもならない。
彼から離れようとすると、
彼は素早く僕の腕をつかんだ。
「…たくさんしてくれる…?」
「え…、」
「食べたら…。」
不意をつかれて熱が上がる。
おいおい。
我慢してるんだからそんな煽ることを。
本当にこの人は。
照れていたと思ったら予想もつかないとんでもないことをさらりと言ってのける。
心臓が持たない。
さて、今日はどうやっていじめよう。
明日は休みだから、手加減をするつもりはない。
ご飯を食べながら、
色気の増した彼が泣いて悶えるところを想像して、笑った。