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エスキス アムール

第5章 苦い体験


【大野side】


夜の20時。

その日は曇天だった。

朝から
分厚い黒い色をした雲が
天を覆っていて、
気分は優れなかった。


それに、
コレのせいで
もっと優れない。


はるかちゃんが
携帯を忘れ、
俺は成す術もなく
お店に向かうしかなかった。


こういう時に限って、
仕事も早く終わる。

何だよあの変態社長!
昨日の忙しさと落差ありすぎだろ!!




携帯を片手に、
お店の前をウロウロする。

「はぁ〜」

端から見たら、完全な不審者だ。

仕方ない。

仕事だ。仕事だと思え。




思い切って、
ジゴレットに入った。


「いらっしゃいませ。」


その声に
少しだけ頭を下げる。

若いウェイターが
受付に立っていた。

そのウェイターは
男のくせに可愛い顔をしていて、だけど背が高い。

年齢不詳だ。




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