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エスキス アムール

第5章 苦い体験





その前には一人、
先に受付に立っている人がいた。

この人は俺と違って、客だろう。


「アカリちゃんをよろしく。」
と言う声が聞こえた。


「アカリ…ですか…。」

若いウェイターは、
彼女の名前を聞くと、
少しだけ渋る様子を見せた。

あれ、
今日もしかしていないのか?


二人の様子を並んで見ていると、若いウェイターがこちらを見る。

目が合うと、
彼は「あ、」と
何か思いついた顔をした。



そして、直様その男に向き直る。


「申し訳ございません。
アカリは
予約が入っておりまして…。

別の者を用意致しますので。」



「この前も
そうだったじゃないか!」

そいつは怒りを露わにした。



だけど、
そんな事に怯む様子も見せず、
また次回と、
可愛い顔をして笑う。

そいつの対応が終わると、
俺に向き直って、


「お待ちしておりました。
アカリ、予約されてましたよね。」


「は?」

若いウェイターはそう言って、
ニコリと笑った。

その声を聞いて、
さっきの男が、
すごい目つきで俺を睨んできた。



予約してねーよ!!



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