エスキス アムール
第35章 彼と彼と彼女
「ニューヨークに伝手があってさ。
それで。」
「それでって…何もそんないきなり!」
「いきなりじゃないよ。
大学の頃からそうするプランだったんだ。」
「それにしたって、お前。
彼女はどうするんだよ!」
そうだった。
まだ要には、
彼女と別れたことも話していない。
つまり、木更津とのことも話していない。
彼の中の木更津の情報は、
俺を狙っている変態ホモ野郎というところで
止まってしまっている。
そのあと、
変態ホモ野郎から、
ホモにしては優しい変態ホモ野郎にかわって、
そこから、ホモの中でも優しい部門の変態ホモ野郎にかわって、
そこから、俺もホモになってしまったなんて。
…言えるはず、ねーよなー。
困惑した顔をして俺を見つめる要を見て、溜息をついた。