エスキス アムール
第36章 ファースト キッス
「見たてだとあと二ヶ月くらいか。」
観月Jrは真面目で
言ったことをきちんとやっているし
なかなか、以外と筋もある。
ここまでくれば、あとはJrの腕次第だ。
これであいつの父親が戻ってきて
邪魔をしなきゃ良いんだけど。
木更津がいない部屋で
一人、ポツンとバーボンを飲んだ。
彼がバーで励ましてくれたときのことを思い出す。
考えてみれば、落ち込んでるときには
最近いつもあいつがいたな。
……まあ、そのタイミングは興信所の賜物だけど。
今はもう、興信所には頼んでないのだろうか。
そう思うとなんだか、寂しくなった。
仕事は順調だけど、
悩ませる問題は山積みだ。
ここ最近、彼がくれた一枚の紙を机に置いて睨みながら酒を飲む。
そんな頭が痛むことを繰り返していた。
迷いが生じている。
それを決断するのに
酒で解決できるとは思えないが。
そうでもしなければ
考えられそうになかった。
けれど、そうしても結局答えなんて出ないまま寝てしまうのだ。
睨みながら酒を飲む。
答えがでなくて酒を飲む。
酒を飲んだら眠くなる。
気がつけば朝だ。
なんという悪循環だろう。
最近、ベッドに行って寝たことがなかった。
なんか…眠い。
アルコールが入ったおかげで
体は暖かくなり一気に睡魔が襲ってきた。
今日もここで寝るのか
自分のことなのに他人事のように目を瞑りながら思う。
ピンポーン
水でも飲んでから寝ようかと思い、台所まで向かうと、来客を知らせるベルが鳴った。