エスキス アムール
第38章 彼の想ひ
【木更津side】
誰だよ。こんな時間に。
安いアパートでもない。
このマンションの関係者のでない限りここまで来れないはずだ。
酔っぱらって部屋を間違えたまま寝てしまったのかもしれない。
その人はドアの前に座り込んで、膝に顔をうずめていた。
嫌だな。
酔っ払いだったら特に起こすのを躊躇われる。
寝ぼけて襲われたらどうしよう。
ここは日本ではないから、そこまで治安もよくないし、
銃なんて使われたら一溜まりもない。
穏便に対処しよう。
でも酔っ払いに穏便にって…
正気じゃない人間を相手にするのは疲れれる。
なんでよりによって僕の部屋の前なんだ。
いつもよりゆっくりゆっくり近づいてだんだんと距離が近くなると、
鮮明に見えてくるその人。
…アメリカ人にしては小柄だ。
「………、」
…酔っ払いじゃ、ない。
想定外の光景に
思わず足が止まった。
「……な……、」
ふいに、
涙がこぼれそうになる。
まさか。
なんで。
どうして。
目の前の状況が飲み込めない。
どうしているの。
黙って、その姿を見つめて立ち尽くす。
少し生暖かい風が吹いて、
その髪の毛を揺らした。
その髪に触れたいと思う
その身体を抱きしめたいと思う
いますぐ、キスをして
めちゃくちゃにしたいと思う。
押し込めていた感情が
ドっと、
身体の奥の方から押し寄せた。
僕は、その小さくなった
愛しい愛しい、その人の名前を
呼ばずにはいられなかった。
誰だよ。こんな時間に。
安いアパートでもない。
このマンションの関係者のでない限りここまで来れないはずだ。
酔っぱらって部屋を間違えたまま寝てしまったのかもしれない。
その人はドアの前に座り込んで、膝に顔をうずめていた。
嫌だな。
酔っ払いだったら特に起こすのを躊躇われる。
寝ぼけて襲われたらどうしよう。
ここは日本ではないから、そこまで治安もよくないし、
銃なんて使われたら一溜まりもない。
穏便に対処しよう。
でも酔っ払いに穏便にって…
正気じゃない人間を相手にするのは疲れれる。
なんでよりによって僕の部屋の前なんだ。
いつもよりゆっくりゆっくり近づいてだんだんと距離が近くなると、
鮮明に見えてくるその人。
…アメリカ人にしては小柄だ。
「………、」
…酔っ払いじゃ、ない。
想定外の光景に
思わず足が止まった。
「……な……、」
ふいに、
涙がこぼれそうになる。
まさか。
なんで。
どうして。
目の前の状況が飲み込めない。
どうしているの。
黙って、その姿を見つめて立ち尽くす。
少し生暖かい風が吹いて、
その髪の毛を揺らした。
その髪に触れたいと思う
その身体を抱きしめたいと思う
いますぐ、キスをして
めちゃくちゃにしたいと思う。
押し込めていた感情が
ドっと、
身体の奥の方から押し寄せた。
僕は、その小さくなった
愛しい愛しい、その人の名前を
呼ばずにはいられなかった。