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エスキス アムール

第38章 彼の想ひ

【波留side】



もう我慢が出来なくて
触ってほしいと訴えると、木更津はいたずらに笑って、触れることなくまた、唇に吸い付いた。


彼の舌は俺の口内を暴れまわり、
それに負けじとこちらも絡める。

口内からは飲みきれなかった唾液が零れ、唇を離すと銀の糸がふたりをつないでいた。



「…は…まだ…んんっ」


それでも足りなくて、俺は彼を求める。
彼は感じてくれいるのだろうか俺の気持ちを。


不安になって離せば
彼は、少し不満そうな顔をした。

あんなに恐る恐るだったのに、 さっきまでの木更津が嘘みたいだ。



「はぁ…はぁ…っつたわってる…っ?
すきって…」

「…足りない。
まだ、足りない。もっと」



呼吸を乱してそう問いかける俺に、彼は余裕のない表情で噛み付いた。


「んぅ…っふ…んん」


ピチャピチャと静かな部屋の中に水音が響いて、だんだん彼の体重が自分に乗っかってくる。

それに身を任せると、背中にソファが当たる感触がした。

しばらくして、彼に押し倒されたのだと気が付く。


日本で何回もしてきたキスとは何かが違った。
何が違うのかわからないけど、
全然違う。


なんて言うか熱くて、熱くて溶けそうだ。
嫌じゃない。気持ちいい。

木更津の舌が絡まるたびに、熱い熱い何かが流れ込んでくる気がした。









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