エスキス アムール
第59章 依存性
「今日は、出前とろう。」
「ううん、作る。」
「いいから。波留くんそんな状態じゃないでしょ?」
そう言うと、腫れた目で僕を見つめて、ふるふると首を振った。
「ううん…作りたいんだ。今日は………作りたい……」
ぼーっとして待っているより、何かをして気を紛らわせたいのだろう。
見ていてとても痛々しかった。
こんな表情も、光平くんにしかできない表情だ。
「…何が…食べたい…?」
若干イライラしながらも、その質問に考えを巡らせる。
何が食べたい、か……
うーん、
その時、光平くんが言っていた料理を思いだした。
「あ!オムライスがいい!!」
とても美味しいと言っていた。
おすすめ料理だと。
光平くんが食べて、僕が食べていないなんて、そんなの嫌だ。
僕だって、波留くんの得意料理を食べたい。
顔を綻ばせてそういうと、
波留くんは一瞬顔を曇らせた。
「………え……、オムライス…」
「うん、オムライス。
波留くんの得意料理って聞いたけど。」
「え……そ、そう?
おむらいすか…」
その渋るような反応にイライラとした。