テキストサイズ

エスキス アムール

第59章 依存性

【矢吹side】







「……!!、どうしたの?!その目!!」

「あー…別に…」




自宅に帰ってきた波留くんは、それはそれは、完全に泣きはらしましたという目をして帰ってきた。



「ちょっと…疲れたのかも…」




いやいやいやいや。



誰が見てもそれは泣き腫らしたってわかるから。



波留くんは何でもないよと笑って、ご飯の支度に移ろうとした。



「なんでもないってそんなわけ……」


何があったと言いかけて、思い当た節があるので、口を噤む。


波留くんが仕事で泣くわけがないし、完全に光平くん絡みのことだろう。



もしかして、光平くんにあったのだろうか。
それとも、連絡を取り合ったとか…?


いずれにせよ、彼に何かを言われたことはすぐにわかる。


あんなに泣き腫らしているということは、相当なことを言われたということだ。


もしかして、別れようとか?

それはない。
あんなに執着しているのに、手放そうなんて考えるはずがない。


気丈に振る舞う彼を観察しながら、考えを巡らせた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ