エスキス アムール
第7章 オオノねこ
ドキドキする。
なんで、さっきからこんなに…
「……ね、夢ってなんなの」
可愛い猫は
私の戸惑いなど露知らず、
微睡みの中からそう呟いた。
気にしてない風に見えたけど、
結構気になってたんだ…。
可愛い。
こんな猫いたら、すぐ売れちゃうんだろうな。
「絵のね、勉強したくて…」
「絵…?絵描くの…?」
「…うん」
「デッサン…?」
本当に眠いみたいで、
大野さんから出てくる言葉は
単語だった。
「デッサンは
あまりやらないかな。
描くなら人物画なんだけど、
好きな人じゃないと描けなくて…」
デッサンの場合、
好きな人の顔はいくらでも描けるのに、
それ以外の人は
気分が悪くなって
いつも途中でやめてしまう。
だから、
想像を膨らまして、
この世界じゃないものを描くのが好きだった。
「…なんだ、それ…(笑)」
じゃあ…、俺は描いてもらえないね…。
大野さんが眠りに落ちる直前に、淋しそうに呟いた。
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