エスキス アムール
第8章 チケット
その言葉に引き戻されて、
目を開ける。
夢の中で思い出していたから、
タイムスリップした感覚になっていた。
横を見ると、
大野さんが
可愛い顔をして眠っていた。
髪の毛にそっと触れる。
一年前の時のように、
変わらずふわふわだった。
本当に猫みたい。
撫でていると、
それで目を覚ます、猫(大野さん)。
「…ん…」
私と目が合うと、
ガバッと起き上がって、
携帯を見る。
そうして、
暫くして、
夢か…と呟いた。
「どうかした…?」
「ん、ううん、何か…タイムスリップ…?」
そんな事を
ごにょごにょと言ったあと、
何でもないと欠伸をした。