エスキス アムール
第8章 チケット
「あー、いや、
あのさ、
知り合いから
美術展のチケットもらったんだけど、
俺の周り
誰も興味あるやついなくてさ。
はるかちゃん絵描くでしょ?
いかないかなと思ってさ。」
「え…」
「嫌だったら言って!
別に行かなくてもいいんだから!」
「え…あの、」
「あ、2枚欲しかったらいいよ!あげるから、友達と行っておいで!」
「ちょ、ちょっと待って!」
一気に
まくし立てた大野さんは
私の制止に口を噤んだ。
「それ、
大野さんと観に行くって
ことですか…?」
「う、うん…あの、嫌だったら…」
「行きます。」
「一緒に行きたいです。」