すべてはあの日から
第10章 一途な二人
真央は、あんなに初でいとおしいけれど、
揺らがない強さを持っている。
俺がどんなアプローチをしても、
きっと真央の気持ちは俺には向かないんだろうな…
清棲家の正面玄関の戸を開け、
黒塗りのリムジンに乗り込む。
緩やかに発車した車内で、
「真央様の反応は いかがでした?」
秘書の島崎がニヤニヤしながら問う。
「お前…ほんと性格悪いな」
「あなたの方が十分性格悪いと思いますがね。
真央様の味方面しておきながら、あわよくばこのまま結婚に…
とでも思っているのでしょう」
うっ…
コイツ…嫌なところを突いてきやがる…
「差し詰め、
キスでもして 少しでも意識してもらおうとかいう魂胆でしょう」
「…島崎、斎藤政崇という人物を探れ」
ムカつきを抑えつつも、島崎を見据える。
「…まさか…」