テキストサイズ

甘い果汁

第8章 とろける果汁



 だ、誰?

 悠也の言う、その『人』は多分、同学年でも、多学年でもない。

 ーー大人の『人』だ。


 多分、年の近い女の子だったら、『女子』か『女の子』と、悠也は言うだろう。


 思い当たる人は、一人しかいなかった。


 「…~~っ」


 「…なーんてね。」


 嘘ばっかり…

 嘘ついたら悠也は絶対、下を向いて笑うんだ。


 「んっ…」


 私は悠也の両頬を両手でつかみ、キスした。

 何て言ったらいいのか、わからなかったんだーー。


 「やっぱ、亜衣はキス下手だな」

 そう彼は言うと、私の唇に優しくキスを落とした。


 「んっ」


 悠也、好きだよ。


 その言葉を言ったら、何かが変わりそうで怖かった。


 私は、


 弱いーーーーー。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ