甘い果汁
第4章 悩む果汁
「……おはよう」
「うわっ、お、はよ」
朝、家を出ると自転車に乗った悠也がいた。
(動揺しすぎじゃない…?)
「後ろ乗れよ」
「…うん」
風になびかれ、朝の空気を吸った。
「おーい亜衣… 学校ついた」
「えっはやっ! …ありがとう」
「ん……別に」
トッと、自転車から降りて、悠也の顔を覗き込む。
「そっぽ向かないでよ…こっち向いて…… …!」
私がいる逆方向に顔を向ける悠也の頬を両手で掴み、
こちらに向かせると、
「顔…真っ赤…」
「うっ、うっせーーっ」
バッと手を振りほどかれ、
悠也は自転車置き場に自転車を走らせて行った。