甘い果汁
第4章 悩む果汁
「位置についって~…よ~い…スタートッ」
岡村先生の声に合わせて私は勢いよく走った。
走ってるのに、
走ってるのに、
何故考えるのは君の事なのだろうか?
「亜衣、走るの速いね」
「あれは、8秒くらいじゃない?」
涙がぼろぼろと溢れ出した瞬間…
ズサァアアッ
「亜衣?!!」
「花崎!!!」
「…っ」
痛いよ、何でこんなときに転んじゃうかなぁ…
起き上がって膝を見ると、血がにじんできていた。
「痛いよッ……」
両手で顔を隠し、私は泣いた。
それは何の涙かはわからなかった。