テキストサイズ

甘い果汁

第7章 苦い果汁



 夕菜は、頬に手をついて私の顔を横からまじまじと見た。


 「そんなに見にゃいでよー、茜照れる☆」


 本当に心臓が爆発しそうだ。


 綺麗な、黒豆みたいな目で見られたら、なんか、ほんと、うん…。


 ポテトチップスが喉に詰まりそうだ。


 「勉強再開するかー」


 夕菜はそう言い、私の前に座りなおした。


 (ぁあ、このテーブルの距離がもどかしい)


 「…茜ー、ここ、おしえて」


 夕菜はシャーペンで、トントンとワークを叩いた。


 「むふふ、夕菜は英語、得意じゃないもんねぇ」


 「うるせぇ、早く、おしえろ」


 夕菜のワークを覗き込むと、

 すごく簡単な問題だった。んふ


 「夕菜ってば、willの意味も忘れたの?」


 「人間はそんなに、覚えれないんです」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ