甘い果汁
第8章 とろける果汁
私は悠也の胸から離れ、
ケーキの箱を眺めた。
「…悠也」
「?」
悠也も起き上がり、
頭上にクエスチョンマークを出して、こちらを見た。
私はケーキが入った箱を、悠也の目の前に出し、
「誕生日おめでとう!!
悠也!!!」
とびっきりの笑顔で言った。
悠也は箱を受け取り、満面の笑みで笑った。
「ありがとう、亜衣!」
そう言って、悠也は箱を開けて、目を輝かせた。
「うっわーーっ、うまそう!!」
「えっ、すっごい崩れちゃってるよ」
「見た目じゃなくて味だよ」
うーーん。
これのどこが美味しそうに見えるのか…
イチゴもべちゃってなってるし、ケーキの形が崩れてるよ。