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サイレントワールド

第8章 RULE

「う…。」
未来はゆっくりと目を開いた。
「ここはどこだ…?」
壁は何かで斬られたような傷がつき一部は廊下の向こう側から切り裂かれていた。
そこで未来はやっと今の自分の状況を思い出した。
慌てて右腕と胸に目をやる。
右腕はちゃんと繋がり胸にも傷のあとはなかった。
「ふー…。」
とりあえず安堵の息を吐いて先程のプレイヤーのことを思い出す。
(強かった…。)
未来の攻撃は全て見切られ結局あのプレイヤーに指一本触れることはできなかった。
「『ハンター』…か。」
去り際にあのプレイヤーが口の動きだけで言った言葉。
もしあの言葉が本当ならば未来が戦ったフードを被ったプレイヤーこそが翔を含めその他のプレイヤーの記憶を奪い去った『ハンター』というプレイヤーなのだ。
「…くそっ。」
憎々しげに吐き捨てる。
もし翔の記憶を奪った『ハンター』に会ったなら翔の仇をとってやろうと密かに思っていたのだが結局この様だ。
「いつまでも落ち込んでる場合じゃないな。」
ひとまず次あの『ハンター』に出会ったら必ず一矢報いてやると決意を固め未来はゆっくりと立ち上がった。

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