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サイレントワールド

第9章 QUEST

「…。」
何も起こらない。
クエストが開始されたのだから攻撃的なモンスターが出てきてもおかしくないと思うのだが…。
「未来!早く!!」
「え?」
見ると伊川がいかだのようなもののそばで手招きしている。
いかだが浮いているということはあの扉の出口は海の近くに設定されていたのだろう。
「あ、ああ。今行く。」
なんかキャラ変わったな…などと思いつつも未来はいかだに乗りこんだ。
すると目の前にメッセージが表示された。
『参加プレイヤー乗りこみ確認。出発します。』
そのメッセージが消えると同時にいかだが勝手に動きだした。
「凄いな…。」
どういう仕組みで動いているのだろうと考えていると伊川が話しかけてきた。
「未来。あんたスキル一つも持ってないんだからさっさと割り振りなさいよ!」
やはりクエスト開始前から若干言葉遣いが悪くなってるような…。
「そ、それと君づけとかウチ好きじゃないから呼び捨てにするわよ。」
何故か顔を赤らめてそう言う伊川。
「まぁそれは構わないけど…。」
「…けどなによ?」
「なんかさっきから若干言葉遣いが変わってるような…。」
「わ、悪い!?そんなのウチの勝手でしょ!?それより早くスキル割り振りなさいよ!」
「あ、ああ。」
伊川の言動は気にかかったがとりあえずスキルを割り振り始める。
(まずは…。)
とここまで考えたところでメニューを呼び出した指がピタリと止まった。
「…どうしたのよ?」
指を止めた未来を不思議に思ったのか伊川がメニューがあるあたりに顔をだしてきた。
未来はそれを見てメニューを他人可視モードにした。
メニューを見て伊川も未来の指が止まった理由が分かったようだった。
「なるほどね…。」
スキルはステータス画面から割り振ることができるのだがそのステータスにはレベル1の表示。
加えて未来は今武器を持ってない上に戦闘回数もたった二回。
つまり
「スキル割り振り不可ね…。」
ハァと溜め息まじりに伊川が呟く。
今未来は4つあるスキルのうち『熟練度スキル』、『ステータススキル』、『ウェポンスキル』が使えないのだ。
『ステータススキル』はレベルアップをしていないのでスキルポイントが無く『ウェポンスキル』はそもそも武器を持っていない。
『熟練度スキル』は戦闘回数が二回しかないため熟練度があがっていない。
これは苦労しそうだな…と未来は心の中で溜め息をついた。

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