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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

支払いをする階堂さんを待つ間、大輪の華を咲かせる夜空の花火を見たのは、そんな時。

私、この花火を一生、忘れないだろうなって。

この花火を思い出す時、そこには必ずあなたがいるはず。

そう思っていた。

だからあなたに、『もっと花火が綺麗に見える場所に連れていってあげようか。』って言われた時は、夢に続きがあるのかと可笑しかった。

あなたに手を引かれて、飛び乗ったエレベーターの中。

夢の中なのか、現実の世界なのかわからなくて。

少なくてもあなたの顔を見てしまったら、この夢は覚めてなくなってしまうじゃないかって。

そう思うと、全身を動かすことなんて、できなかった。

そんな中で見た、部屋一面のガラスから見る大きな花火。

何気ない会話の後に、ふとあなたを見ると、その瞳には私が映っていた。

「階堂さん?」

まるでそのまま息が止まってしまったかのように、ずっと私を見つめていた。

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