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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

「そうでしょうか。」

私にはわからない。

「もしかして、前に私が言った事、気にしているの?」

相手に溺れ過ぎて、泣くのは自分だと、店長は言っていた。

「バカね。あくまで私の話よ。夏目さんがそうなるとは、限らないわ。」

こんな時でも、店長は優しい。

「さあ、思いきって声をかけてごらんなさい。恋愛に大事なのは、相手を信じること!」

店長はそう言って、私の背中を少しだけ押してくれた。


でも私には、それで十分だった。

その軽い力で、お店の軒下で待つ、階堂さんの元へスーッと引き込まれていった。


カランッと、お店のドアが開く音がする。

その音に反応して、階堂さんはこちらを向いた。

「美雨ちゃん。」

私を見て、時が止まったように、私を見つめる階堂さん。

「あっ、偶然この近くを通ったから、お店にいるかなって思って……」

「うそ。」

すかさず私は、その話を遮った。

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