テキストサイズ

Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

「もしかして、残業するって言ったのは、あの人のせい?」

店長はそっと、私の肩に手を添えてくれた。

「…いえ。」

「あら、なかなか素直じゃないわね。」

意外な答えに、私は顔を上げた。

「あの人が気になるって、顔に書いてあるわよ。」

咄嗟に、自分の頬を撫でる。

「ふふふっ!本当に書いてあるわけじゃないって!」

「です…よね……」

店長の突っ込みに、思わず重い空気が、少しだけ軽くなった。

「彼ね。ここ最近、ああやってお店の軒下で、誰かを待っているのよ。」

「最近?ずっとですか?」

「そうよ。ずっと。」

もしかして、その相手って私?

勘違いもいいところだって、自分に言い聞かせるけれど、その反面嬉しかった。

「その待っている相手って、夏目さんなのかな。」

はいって、返事できない。

「行ってあげたら?じゃなきゃ、彼、また毎日あの軒下で、夏目さんを待つことになるわよ?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ