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Gentle rain

第7章 心と体

「ひどいなぁ。口だけ?」

突然こちらを向いた菜摘さんに、意地悪い笑顔を見せた。

「いえ……そんなことは……」

「だったら、行きましょう。」

俺は菜摘さんの返事を待たずに、自分のデスクへと向かった。

「あの…階堂さん。」

「はい。」

カバンを持った俺に、菜摘さんは“本当に今から行くの?”という顔。

「無理なら、強引に誘ったりしませんよ?」

美雨なら、強引にでもその手を引っ張って、どこにでも連れて行くけれど、相手は菜摘さんだしな。

「いいえ。行きましょうか。」

「そう来ないと。」

俺は内線で、秘書の子を呼び出した。

『はい。』

「ああ、階堂です。今から友人と食事に出るから、留守を頼むよ。」

『かしこまりました。』

秘書の子は、詳しい事は聞かない。

頭のいい子だから、今俺が会っている人物が、森川社長のお嬢様だと言うことは知っているのだろうが。

「行きましょうか。」

俺は菜摘さんを連れて、部屋を出た。

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