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Gentle rain

第7章 心と体

「お気づかい痛み入ります。」

遠慮なくその封筒を受け取ると、菜摘さんに一礼をした。

「それでは、私はこれで失礼致します。」

「はい。」

お互いに立ちあがると、目線が合わさって、つい先ほどまで仕事の事を話していたのが、嘘みたいにお互いぎこちない雰囲気になった。

「この後は、真っ直ぐに会社へ戻られるんですか?」

「はい。元々、父の名代ですから。他の仕事があるわけではないので。」

なるほど。

森川社長も、相手が俺だから菜摘さんをよこしたのか。

「そうだ。この前約束した食事、これから行きませんか?」

「約束した食事?」

菜摘さんは怪訝そうな表情を見せた。

「ほら、この前メールで……」

「ああ!」

今思いだしたかのように、菜摘さんの目線が泳ぐ。

「やだな。忘れてたんですか?」

「すみません。その……社交辞令だと思っていました。」

その言い訳が、なんとも憎めない言い方だった。

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