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Gentle rain

第2章 興味

そんな兄さんの笑顔をかき消すように、携帯がけたたましく鳴った。

「どうした?」

すぐ電話に出た兄さんは、私が目の前にいるのに、『うん、うん。』と、電話の向こうの人の話を聞いている。

「わかった。また明日。」

短い電話を終えて、兄さんは携帯をテーブルの上に置いた。

「……仕事?」

「うん。」

それにしても、あまり厳しい顔をしていなかったなって思うのは、私がまだ社会人じゃないから?

「何、疑ってんの?」

「えっ!?」

なぜか私の考えがバレバレの事に、動揺する。

「だって、もしかしたら彼女さんからの電話かなって思ったり!」

「違う違う!本当に仕事の電話だよ!!」

そんなに全力で否定されると、返って疑ってしまうのは、なぜなんだろう。

「俺の事よりも美雨は?」

「私?いないいない!!」

思いがけない返しに、今度は私が全力で否定する。

あっ、今。

兄さんの気持ちが少しだけわかったような気がする。

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