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Gentle rain

第7章 心と体

「左遷?」

「兄が東京を離れるから、ついてきてくれと言った時、あの女は何て言ったと思います?」

「さあ…何て言ったんだ?」

「ついていけるわけないでしょう?落ちぶれた男に。」


菜摘さんが、そんな事を?

あの菜摘さんが?


「ショックで、引っ越すその前の晩の夜。兄は自ら命を絶ちました。」

「自殺!?」

あまりにもショッキングな内容で、俺は返す言葉もなかった。



『菜摘の付き合っていた男は、ロクな人間じゃなくてね。』

『元々、女関係にだらしない人だったんです。』



森川社長も菜摘さんも、相手の事はそう言っていた。


「三科君。お兄さんはモテる人だったかな。」

「急ですね。全くそんなイメージではないですよ。自分とは正反対。真面目で仕事人間で。」


真面目で仕事人間?

森川社長の話とは、イメージがかけ離れ過ぎている。


「だからあの女……森川菜摘と付き合い始めた時は、俺の運気は一生使い果たしたとか、言ってましたよ。」

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