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Gentle rain

第7章 心と体

20分ほどして、秘書の子がドアをノックした。

「社長。先ほどの件、少しですがわかりました。」

秘書の子が渡してくれた書類に、俺は早速目を通した。


三科紘文。

夏目と同じ25歳。

今はIT関係の会社の、東京支店を任せられている。


両親は健在。

だが2歳上の兄は病死している。


「兄貴が病死?」

「表向きには、そうなっているそうです。」


なぜその事実を知っているのか。

秘書の子も能力にも、頭が下がる。


少し前まで自社の社長と婚約していたが、兄の病死をきっかけに解消。

ここまでは、昼間に聞いた彼の発言と同じだ。

だが、何か気にかかる。

彼は、菜摘さんの事を非情な人間に仕立て上げていた。

本当に菜摘さんは、そんな人間なのか。

少なくても、俺の知っている菜摘さんは、そんな欠片もなかった。

「すみません。これ以上は何も書いてありませんでした。」

「ああ、御苦労さま。助かったよ。」

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