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Gentle rain

第7章 心と体

秘書の子は、頭を下げると小さな声で「失礼します。」と言った。

だが、去る間際。

彼女は何かを見つけたようだ。

「この写真は……」

「そうだよ。君のお父さんと一緒に撮ったものだ。」

俺は秘書の子に、その写真を手渡した。

「ふふふ。社長がまだお若い時ですね。」

「それはそうさ。俺がまだ新人だった頃に、お世話になったからな。」

それ以上は口を出さずに、聞かれたことだけを答えるというスタンスの彼女。

その時も案の定、求められたことだけ答え、そのまま去るつもりだったのだろう。

「そう言えば社長。」

「ん?」

「調べていて、その書類に書こうか、迷ったんですが……」

そこまで言った彼女は、また黙ってしまった。

いつもの彼女からすると、大変珍しい。

「いいんだ。何でもいいから教えてくれ。」

そう言うと秘書の子は、意を決したように、口を開いた。

「三科紘文の大学時代の同級生に、ご友人の夏目太我さんのお名前がありました。」

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