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Gentle rain

第7章 心と体

「本当なのか?階堂君。」

「あの……」


すぐに“はい”と言えなかったのは、なぜなんだろう。


「お父さん、いい加減にして。階堂さん、困ってらっしゃるじゃない。」

菜摘さんが必死に止めるのも虚しく、森川社長はヒートアップする。

「なあ、うちの娘。自分で言うのもなんだが、いい女だろう?」

「はい、そう思います。」


それは本当だ。

もし美雨と知り合っていなかったら、おそらく森川社長の申し出を、二つ返事で受け入れていたかもしれない。


「だったら、いいだろうよ。ウチの娘に、不満でもあるかね。」

「いいえ。不満はありません。ただ……」

「ただ?」


こんな時は、やけに美雨の顔が浮かぶ。


「自分には、大事な人がいるんです。」

「大事な人?」

「自分の手で、幸せにしたい人です。」


そうだ。

きっと初めて美雨を見た時から、そうなることが決まっていたんだ。

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