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Gentle rain

第7章 心と体

「別に構わんよ。」

森川社長から返ってきた言葉は、俺には理解し難いものだった。

「いいか、階堂君。恋だの愛だのと言うのは、一時の勘違いに過ぎん。夫婦としてやっていくのは、一番は信頼だ。」

「わかります。」


この人だけは、自分を裏切らない。

一番の味方だという信頼が、より絆を深めていく。


「君が一番迷った時、ピンチに陥った時。いくら君が相手を好きだからと言って、落ちぶれた家の娘に何ができる?」

「えっ?」


森川社長の言葉に、納得できない点があった。

落ちぶれた家の娘?


「調べさせてもらったよ。」

社長は、自分のポケットの中から、一枚の写真を取り出した。

不自然に思いながら、その写真を間近で見て、一瞬息が止まった。


映っているのは、俺と美雨だった。

しかもホテルから一緒に出てくる場面。


そこは初めて二人の愛を確かめ合ったあのホテルで、美雨の兄である太我の目を避けるように、逢瀬を重ねてきた場所だった。

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