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Gentle rain

第7章 心と体

「何が可笑しいんですか?」

その高笑いが、今の俺には不愉快だった。

「可笑しいさ。30も半ばを過ぎて、愛?笑わせるな。」

森川社長の言っている事は、当たっているのかもしれない。

この歳になって、愛だの恋だの語るほうが、間違っているのかもしれない。



だが俺は、美雨に出会ってしまった。

自分の人生を賭けても、幸せにしたいと願う人に、出会ってしまった。



「森川社長。あなたは寂しい人だ。」

「なに?」

社長の眼光が鋭くなる。

「あなたがおっしゃる通り、愛だの恋だのと言うのは、この世の中、ちっぽけな事なのかもしれません。」

「だからどうした。」

「だが、少なくても俺は人を愛する事を知っている。それを教えてくれたのが、彼女です。俺は彼女を諦めません。一生。」

シーンと辺りが静まり返り、俺と森川社長は、しばらくの間、見つめ合った。


「その愛と言うものが、身の破滅を呼ばなければいいな。」

そう言って森川社長は、立ち上がって部屋を出て行った。

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