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Gentle rain

第7章 心と体

その店の帰り道、俺は一人考え事をしながら、暗い道を歩いていた。

森川社長に言った言葉に、何一つ後悔はない。

あの、お兄さんが菜摘さんと付き合ったから、自殺をしたという三科君の言葉通り、もしかしたら政略結婚の方が、仕事一筋に生きられるのかもしれない。


だが、俺はそんな人生を、選びたくない。

今までだって、社長の娘を結婚相手に勧められたのは、一度や二度ではない。

その度に断ってきたのは、心のどこかで、愛し合い信頼し合える夫婦関係を求めてきたからだと思うんだ。

そして、幸運にも俺はその女性と巡り合えた。

もう、何も迷うことなんて、ないはずなんだ。


「あっ、しまった……」

美雨の事を考えていたら、いつの間にか夏目の家の前に、辿りついていた。


今、なにしてるかな……

そう思ったら、無意識に携帯を鳴らしていた。


『はい。』

「美雨?今、何してた?」

『何って、大学の宿題してた。』

「そうか……」

ふと上を見上げると、美雨の部屋に灯りがついていた。

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