Gentle rain
第7章 心と体
スーッと滑らかにワインを開ける仕草は、やはりワインの輸入会社の社長らしく、美しかった。
コルクを開け、その匂いを嗅ぎ、その香りに異常がない事を確かめると、太我は俺のグラスにルビー色の香り高いワインを注いでくれた。
「シャトー・マルゴーだ。」
「俺でも聞いた事がある。」
「ああ。ボルドーワインの中でも特に好きなシャトーでね。」
グラスで乾杯をし、お気に入りだと言うワインを飲む太我は、どこか夏目社長を思い起こさせた。
そして、知らぬうちに美雨が、いなくなっている事に気づく。
「美雨は部屋に戻ったんだろう。俺と階堂を二人きりにさせてくれたんだ。」
太我のそのセリフを聞いて、少し嫉妬を覚えた。
どんなに美雨と愛し合っていても、実の兄との太我と過ごした年数には敵わない。
「階堂。あいつは、いい女か?」
「ああ、美雨はいい女だよ。」
同じ女性を兄の太我は“あいつ”と呼び、俺は“美雨”と呼ぶ。
まるで一人の女性を、二人で取り合っている気分だ。
コルクを開け、その匂いを嗅ぎ、その香りに異常がない事を確かめると、太我は俺のグラスにルビー色の香り高いワインを注いでくれた。
「シャトー・マルゴーだ。」
「俺でも聞いた事がある。」
「ああ。ボルドーワインの中でも特に好きなシャトーでね。」
グラスで乾杯をし、お気に入りだと言うワインを飲む太我は、どこか夏目社長を思い起こさせた。
そして、知らぬうちに美雨が、いなくなっている事に気づく。
「美雨は部屋に戻ったんだろう。俺と階堂を二人きりにさせてくれたんだ。」
太我のそのセリフを聞いて、少し嫉妬を覚えた。
どんなに美雨と愛し合っていても、実の兄との太我と過ごした年数には敵わない。
「階堂。あいつは、いい女か?」
「ああ、美雨はいい女だよ。」
同じ女性を兄の太我は“あいつ”と呼び、俺は“美雨”と呼ぶ。
まるで一人の女性を、二人で取り合っている気分だ。