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Gentle rain

第8章 優しい雨

どうして?って聞いたのに、兄さんは黙っている。

「ねえ、兄さん。敦弥さんの事、何か知っているのなら、教えて!!」

私は兄さんの傍に、すがる様に坐った。

「お願い……」

私、まだ恋愛経験なんて少ないけれど、あんなに一人の男の人に求められたのって、初めて。

だから、受け入れられない。

全く連絡の一つもない、この現状を。


「美雨……」

「敦弥さんは、私の事、嫌いになっちゃったの?」

「それはない!!」

兄さんは、私の肩を掴んで、力強く否定してくれた。

「階堂は、美雨の事を本当に大事に思っているんだ。それだけは信じてやってくれ。」


男同志の友情なの?

でも、私にはわからない。

だって、どうして兄さんの方が、敦弥さん事を知っているの?

私の方が、誰よりも敦弥さんの傍にいるって、思っていたのは嘘だったの?


「美雨…階堂は…階堂は…」

そう言った兄さんは、なぜか辛そうな表情をしていた。

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