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Gentle rain

第8章 優しい雨

そんな時、兄さんが私の部屋を訪れてくれて、しばらくの間、泣いている私を慰めてくれた。

そのまま安心しきったのか、私と兄さんはベッドの中で、寝入ってしまって。


朝になって、兄さんはお父さんにこっぴどく叱られていたのを思い出す。

その時はどうして怒られていたのか、わからなかった。


でも、今ならなんとなくわかる。

高校生の兄と、小学校高学年の妹。

本人同士は何もないのに、大人は間違いがないように、目を見張る年齢だった。


「あのさ。階堂の事なんだけど……」

わざわざ慣れない妹の部屋に来てまで話そうとしていたのは、敦弥さんの話?

「最近、仕事で大変そうなんだ。」


どうしたんだろう、私。

なんだか、心がイラつく。

私にはそんなこと、一言も言っていなかったのに、どうして兄さんは、敦弥さんのそんな事を知っているの?


「美雨。階堂は、連絡を取りたくても、取れないんだ。」

「どうして?」

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