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Gentle rain

第8章 優しい雨

その返事を聞くと、兄さんは私の部屋から出て行った。

しばらくは、兄さんが廊下を歩く音が聞こえたけれど、その後は何も聞こえない。

その沈黙が、余計にあの夜の事を、思い出せる。

私は、止せばいいのに膝を抱えて、その中に顔を埋めた。


力任せに押し倒される体。

引きちぎられる洋服。

好きでもない男に、撫でまわされる身体。

口元を塞がれ、耳元に聞こえてきた悪魔のような低い声。














『兄貴を、助けたいんだろ?』























受け入れたのは、私。

経験した事のない痛みに耐えながら、私は思った。


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