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Gentle rain

第8章 優しい雨

『美雨は大人だね。』

「ううん、まだ子供だもん。」

『いや、大人だよ。そんなセリフ言えるなんて、大学生の女の子でいないだろ。』

「子供だもん!!」

また敦弥さんからの声は、途切れてしまった。

「子供だから、1週間電話が来ないだけで、不安で…心配で…寂しくて…仕方ないんだもん……」

涙が出てきて、鼻をすする音がするのに、敦弥さんは何も言ってくれない。


呆れてるんだ。

仕事で忙しいのに、我がままだって。


『今日は、太我はいるの?』

「えっ……うん……」

『そっか…いるんだ。残念。今から美雨の部屋に行こうと思ったのに。』


ドキンと、心臓が鳴った。


「……来て、欲しいな。」

言った後、顔が赤くなるのを感じた。

『今から行くよ。』

そう言って、敦弥さんからの電話は切れた。

途端に嬉しくなって、ベッドの上に、弾むように横になった。


「何分くらいで来るのかな。」

時計を見ると、夜の9時を回っていた。

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