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Gentle rain

第3章 愛してるの基準

「惚れたか?夏目の御曹司に。」

「まさか。」

興味はあるが、奴についていこうなんて気は、更々ない。

「どうせ惚れるなら、いい女に惚れたいですからね。」

「はははっ!」

森川社長の笑顔の種類が変わったところで、尋問は終わりにしてもらいたい。

「ところでそっちは?結婚したという噂は聞かないから、まだなのだろう?」

誰が結婚した、別れたというのは、芸能人並みに知れ渡る。

「一人に決めかねているのかね?」

「止めてくださいよ。そんなにモテませんから。」

昔から森川社長の冗談は、冗談に聞こえなくて面白い。

「勿体ないな。君ほどの男が。」

「いやいや。」

森川社長のリップサービスは、時々尊敬するものがある。

「女っていう生き物は、自分が寂しい時に傍にいてくれる男じゃないと、途端に離れていきますからね。」

「なんだ。仕事をしている間に、他の男へ行ってしまったか?」

森川社長は、脇にあった椅子を僕に足もとに置いた。

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