テキストサイズ

Gentle rain

第4章 偶然

階堂さんは、腕を組みながら辺りを見回した。

「本当だ。俺、無意識のうちにこんなカラフルな場所に立ってたんだ。」

その無邪気な驚きに、思わず笑みがこぼれた。

「さすがだね、美雨ちゃん。」

「有難うございます。」

階堂さんに誉められて、頭の後ろがむず痒くなった。

「おすすめの香りは何?」

「そうですね。イランイランの香り等は如何でしょうか。官能的で……」

「官能的?」

そう言って階堂さんは、私の顔を覗き込んだ。

「……大人の女性向きだと思います。」

「大人の女性ね。」

何故だか階堂さんは、クスクス笑い出した。

そうよね。

二十歳そこそこの大学生の女の子が、『官能的な香りです』なんて言っても、可笑しいだけだよね。

「ごめん。実はプレゼントする相手、若い女の子なんだ。」

「え?」

私は頭が固まった。

ヤダ!

てっきり階堂さんは大人の方だから、プレゼントする相手も大人の女性だと思ってた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ