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Gentle rain

第5章 初めての夜

「ぼ、僕がですか!?」

大きなリアクションを見せる程、田辺君は菜摘さんに憧れているらしい。

「話しかけなければ、何も始まらないじゃないですか。男なら、待ってちゃダメですよ。攻めなければ。」

田辺君は、俺の言葉に大きく頷いた。

「そうですよね。どうせダメ元だ!階堂社長、俺、行ってきます!」

「ええ。頑張ってください。」

勇気を奮い立たせたのか、田辺君は勇んで、菜摘さんの元へと近づいて行った。

今、気づいたが菜摘さんの周りには、そんな男達が、わんさかいた。


皆、菜摘さんを隙あらば妻にと、思っているのだろう。

益々、森川社長の思惑通りに、事が運ぶというわけだ。

そんな事を、人知れず考えていた時だ。

「行かないんですか?ご令嬢の元へ。」

スッと出されたワインと共に、その男はいつの間にか、俺の横に立っていた。


「どうぞ。」

「……どうも。」

グラスを受け取ると、その男は自分のグラスにも、赤ワインを注いだ。

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