テキストサイズ

Gentle rain

第5章 初めての夜

「三科と言います。よろしくお願いします。」

「……階堂です。こちらこそ。」

ありきたりな挨拶を交わして、俺達は乾杯を交わした。

「ご令嬢はタイプではありませんか?」

「どうですかね。上品で清楚な方だとは思いますよ。ただ、今あの中に入っていったとしても、群衆の中の一人で終わってしまうでしょ。」

「あっ、作戦なんですね。」


気軽に近づいてくる相手は、何か腹に持っている奴が多い。

当たり障りのない回答をしておくのは、一番ベターだ。


「僕は、はっきり言ってタイプじゃないな。」

俺は飲みかけのワインを、零しそうになった。

「ご令嬢、30は超えていますよね。だとしたら、もう少し色気があった方がいいなぁ。」


はっきりと意見を述べる相手は、推定20代半ばだと見受ける。


「セクシーな方が好きですか?」

「いや、セクシーというより、スタイルのいい女が好きです。じゃなかったら、抱いてて面白くないでしょ。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ